研究紹介
車車間通信におけるCognitive Radio Networks
最近、無線通信技術に対する割当周波数の枯渇問題から周波数へのアクセス権を保持するユーザ(プライマリユーザ)が周辺に存在しない場合、アクセス権を保持しないユーザ(セカンダリユーザ)がその周波数を利用可能なコグニティブ無線通信技術が注目されています。プライマリユーザの利用は時刻(時間的)・場所(空間的)に応じて変動するため、セカンダリユーザはこの変動を考慮し通信に用いる周波数を決定する必要があります。一方、車者間通信用の割当周波数はかなり限定されているため、多様な通信をサポートできないという問題があります。そこで、本研究では車車間通信にコグニティブ無線通信技術を用いることでより快適な車車間通信の実現を目指します。しかし車両の移動速度は早いため、通信路の確立や通信に用いる周波数の決定手法が必要となります。そこで、本研究では、車車間通信における送受信間のチャネル調整手法やマルチホップ通信時の経路制御手法に関して研究を行っております。
センサネットワーク
最近、防犯上等の理由から道路などの人気のある場所だけでなく、人気のない場所での幼児やお年寄りの見守りシステムに関する要求が高まっています。このサービスの実現には、安く、低性能なセンサを広範囲にばらまくことで、それらのセンサがネットワークを構築し、お互いに必要な情報をやり取りするセンサネットワークが重要となります。これらのセンサネットワークにおいて見守り対象の詳細な情報を取得するには、高精度なセンシング技術や映像認識技術などとネットワーク技術が結びつく必要があります。そこで、本研究では、見守り対象の詳細な情報の取得手法やデータの効率的な伝送方式について研究しております。これに加え、限りある電力を最小限に抑える手法に関しても研究を行っております。
モビリティー管理手法
利用者が移動しながら通信を行える利便性から、無線通信技術は急速に普及し、現在では無線LANや携帯電話などの様々な技術が利用されています。これらのネットワークは通信速度や伝送遅延、利用範囲などの特性が大きく異なるので、利用者は移動しつつこれらのネットワークを切り替えながら通信を継続する必要があります。しかし、従来のインターネットはネットワークを切り替えを意識して開発されていなかったため、ネットワークを切り替えた際には、性能が大きく劣化することになります。そこで、本研究ではネットワークの切り替えに対応しつつ、途切れのない、性能が劣化しない切り替えを実現する機構について研究を行っております。
Power Line Communication(PLC)に関する研究
最近、家庭内において家電製品をネットワークで結び、ホームネットワークを構築することで享受可能となる多種多様なサービスが登場しています。このホームネットワークの構築にあたっては、従来のイーサケーブルなどの有線によるものが一般的ですが、その敷設の困難さが問題となります。一方で数年前から無線LANに代表される無線ネットワークによる構築も行われてきましたが、敷設が簡単である一方でセキュリティに問題が残ります。そこで各家庭内に閉じられた上で、既に敷設されている電力線を通信媒体として用いる電力線通信:Power Line Communication(PLC)が注目されています。しかしPLCにおける通信には電力線を用いるため、家庭内に設置される機器や配線状況に依存して発生するノイズや電圧変化の影響を大きくうけることが予想されますが、そのネットワークレベルにおける性能調査は詳細には行われていません。そこで本研究では、これらの変化が通信性能に与える影響を調査し、その結果を元にPLC通信に適した送信量の制御手法、及び経路の制御手法について研究を行っております。