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科目名: 技術者倫理E (01) Engineering Ethics E
担当教員: 堀田 源治 (非常勤教員) genji_hotta@ns-elex.co.jp
対象分野科目 必修科目 1単位
2年 後期 集中講義等

授業の概要

事故・災害は不運・偶然の結果という考えに陥りやすいが、実際は、その要因は全て解明可能な因果関係による階層構造を成していることから、科学的に災害を予知・予測し、事前に対策が可能であることを講義する。しかし、安全対策の立案と実践は別問題であり、常に経済・社会的事情との相反となることから、スペースシャトルチャレンジャー号に代表されるような悲劇が繰り返されていること説明し、社会に物理的影響を与える技術者にとって、日常の業務の中で公衆の福利・安全問題を発見・解決しながら成果を得ることがプロフェッションであることを認識し、問題に接した場合の倫理的思考を身に付けさせることを目的とする。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

安全・倫理に関する科目は学際的・実学的なもので、数学・物理学、人間工学、心理学、基礎医学、法学・経済・社会学などの教養科目から、工学専門科目もその基盤となる。また、性格・心情・社会への関心などもこの科目の重要な要素となることから、学内での日常の体験や経験も学習の基礎となる。

授業項目 (授業計画)

(1) 科学としての安全  事故の原因の解析

(2)  わが国の災害の実情:  統計と実例

(3) 現在の防災・安全技術:労働安全衛生法、PL法

(4) 安全上の重大問題 :安全後進国

(5) 国際安全レベルへの整合:  国際安全規格とCEマーキング制度

(6) リスクの予測・事前回避: リスクマネージメント法

(7) それでも事故は繰り返す: 脳の働きと認識メカニズム

(8) 複雑系としての産業安全システム: 人間の行動特性、演習1

(9) 安全を具現化する倫理: 危機管理大国での2度のスペースシャトル事故に学ぶ

(10) 安全コスト: フォードのピント車発売例

(11) 職業倫理: 道徳倫理と工学倫理の相違

(12) 工学倫理入門: 線引き問題と相反問題

(13) 実践手法としての安全倫理:行動規範としての技術倫理

(14) 業務とミッションの認識:

(15) これからの技術者を目指して: 演習2

授業の進め方

安全と倫理2つのパートにおいて、それぞれの内容について講義を行った後、課題を出し小集団に分かれてのディスカッションと発表を行う。(全2回、多人数の場合は演習問題に替える)を行う。また、授業の最後にレポート課題を出し、1週間後に提出してもらう。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

この授業は、潜在的な危険の芽を発見し、リスクを予測して事前に安全対策を実施する予防安全についての講義し、電子情報工学科の目標(F)にある「問題に対して自主的に解決できる方法を探り解決したり、さらに問題を発見する能力を養う」ことを目標とする。また、目標(H)にある「技術者としての倫理、モラル、責任を理解し身に付ける」ために、技術行為の結果公衆に与える災害に対して予防と公表を行うことは、技術者の責任であり、公衆の福利・健康・安全を実現することが職業人としての倫理であることを講義及び演習により理解させることが目標である。

成績評価の基準および評価方法

安全対策手法が、技術者責任としての倫理観に裏打ちされた技術であることを学生が理解しているか、公衆がリスクにさらされる事態においての行動・判断を適正に行えるかに関して、2回の演習問題と最後の課題に対するレポートで評価する。

キーワード

安全、リスク、安全管理、労働安全、製品安全、ライフ・サイクル・セーフティ、マン-マシンシステム、ヒューマン・エラー、危険検出思想、安全検出思想、本質安全、国際安全規格、PL法、リスクマネージメント、プロフェッション、職業倫理、相反問題、線引き問題、功利主義、安全倫理、似非倫理

教科書

野田 尚明、堀田 源治、「安全工学(仮書名)」、(社)日本プラントメンテナンス協会.(8月発売予定)

別に 講義資料と演習問題を配布

参考書

「安全工学—実践技術者のための—」(財)職業訓練教材研究会 2000円

備考


科目名: 計算機通信基礎 (01) 
担当教員: 尾家 祐二 (大学院情報工学研究院電子情報工学研究系) oie@cse.kyutech.ac.jp
対象分野科目 必修科目 2単位
2年 後期 月曜4限目 1305講義室

授業の概要

計算機通信網(コンピュータネットワーク)、特にインターネットにおいて利用可能な代表的なネットワークサービスの仕組みを理解し、そのための要素技術を紹介する。そして、ネットワークの相互接続および機能の階層化について解説する。さらには、計算機通信網を構築するために必要な種々のネットワーク技術に関する基本的な事項を理解することを目的とする。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

本講義は通信システムを支える種々の技術の基礎を学ぶばかりでなく、それらの相互の関連性を理解することによって、通信に関連する他の講義(「情報理論」等)で取り上げられる内容をさらに理解することに有効である。

授業項目 (授業計画)

(1) ネットワーク利用の現状 - インターネット,LAN,モバイル通信,ワイヤレス通信

(2) インターネットの体験 – ネットワークの効用とWWW

(3) インターネットの体験 – 電子メール

(4) インターネットの体験 – インターネットサービスを支える仕組み

(5) インターネットの体験 – インターネット接続(LAN,設定)

(6) インターネットの実験 – DNS,データの到達性、経路など

(7) インターネットの体系 – 通信の形態とハードウェアの要素

(8) インターネットの体系 – ソフトウェアの構造とネットワークの構造

(9) インターネットの体系 – プロトコルの役割(TCP/IPプロトコルスイート)

(10) インターネットの体系 – ネットワーク相互接続

(11) インターネットの技術 – 経路制御、誤り制御

(12) インターネットの技術 – フロー制御と輻輳制御

(13) インターネットの始まりと発展 – 歴史、利用状況、管理機構

授業の進め方

計算機通信システム、特にインターネットを構成している基本的な設計方針が理解できる様に配慮して講義を行う。また、ある機能を実現するために種々のプロトコルが開発されており、それらの特質を比較して理解できるよう配慮する。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

電子情報工学科の目標(C-3-2)に掲げられている「コンピュータネットワークの理論や方法、実践的な応用例について理解」させるための講義を行なう。具体的には以下を目標とする。

(1) インターネットを体験する立場でネットワークの仕組みを理解させる。

(2) 実験を通じてインターネットの仕組みを理解させる。

(3) インターネットの仕組みの概要を体系付けて理解させる。

(4) インターネットの基本技術について機能と仕組みを理解させる。

(5) インターネットの歴史的経緯および現在の状況を理解させる。

成績評価の基準および評価方法

上記の具体的な達成目標のうち、(1),(2)については、中間試験(20%)を行い、さらに(2)についてはレポートの内容によっても評価する(20%)。(3),(4),(5)については期末試験(60%)により各目標の達成度を総合的に評価する。なお、必要に応じて再試験を一度実施する場合がある。再試験は60点を満点とする。

キーワード

コンピュータネットワーク、インターネット、ネットワーク技術

教科書

尾家祐二他著:インターネット入門(岩波講座「インターネット」第1巻)(岩波書店)2001年3月

参考書

備考


科目名: キャリア形成概論 (01) Topics in Career Forming
担当教員: 熊丸 耕介 (情報工学部事務) kumamaru@jimu.kyutech.ac.jp
対象分野科目 選択科目 2単位
2年 後期 集中講義等

授業の概要

本講義では、電気・情報・通信関連産業から各種製造業に亘る広範な工業分野における最新の技術開発動向や将来展望について学ぶことにより。学部卒業あるいは大学院終了後に自分の適性に合った就職先を選択するための参考となるような動機付け教育を行う。講義担当講師には各業界で技術者として活躍中の方々15名にお願いし、それぞれの業界における技術発展の現状と将来展望の解説や経験談を通して、エンジニアに要求される資質とその養成について幅広い視点からアドバイスを与えていただく。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

この授業は、2年次(あるいは3年次)の学生を対象とする科目であり、比較的低学年次のうちから自分の適正に合った卒業・修了後の進路を見据え、モチベーションを以って今後の学部教育課程を履修するためのキャリア形成・開発支援教育科目である。

授業項目 (授業計画)

(1) 電機業界の現状と今後の課題(徳丸雅夫:(株)日立製作所)

(2)  ベンチャー企業家の条件(正田正樹:(株)ハウインターナショナル)

(3) 情報処理産業の現状(小宮勝:(株)富士通九州システムエンジニアリング)

(4) 電気メーカ/ロボットメーカと知的財産(石橋一郎:(株)安川電機)

(5) 所内ベンチャーと電気事業について(大熊康彦:九州電力(株))

(6) 化学プラントにおけるデータ活用と制御(竹田浩伸:三菱化学(株))

(7) 電子デバイス分野を中心とした印刷業界の取組(吉塚尚司:凸版印刷(株))

(8) 通信業界動向と企業が求める人材について(横光康志:パナソニック・コミュニケーションズ(株))

(9) IT業界の構造と将来展望(井口健司:(株)ジャステック)

(10) 自動車業界のもの造りにおける技術動向と今後の課題について(大藤善弘:日産自動車(株))

(11) 住宅機器業界と水周り設備事業(野口隆:TOTOエンジニアリング(株))

(12) エネルギー(発電)プラントの技術動向及び企業が求めるエンジニア像(伊高英彦:三菱重工(株))

(13) 鉄鋼業の技術発展と求められる人材(佐藤直樹:新日本製鐵(株))

(14) 地方行政及び地下鉄建設とその運営(永吉 英:福岡市役所)

(15) 人を大切にするモノづくりとその進化(雨澤政材:トヨタ自動車(株))

授業の進め方

本講義は15名の講師が上記の講義項目についてそれぞれ1コマずつ担当するオムニバス形式による授業である。PowerPointや配布資料を用いて講義を行い、最後に質疑応答の時間を設け、それぞれの講義内容に関連したレポート課題を与える。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

この科目は、情報工学部キャリアセンターにおけるキャリア形成支援事業の一環として開講するもので、学生に「各業界における技術開発の現状と将来展望」を紹介し、「各分野の技術者に必要な資質とその涵養」について理解させることを目的とする。

成績評価の基準および評価方法

授業を担当する講師の方々により与えられた検討課題について、講義の2週間後にレポートを提出させ担当講師がレポート内容を評価し、各レポートの評価点を総合(平均加算)して科目の成績評価を行う。

キーワード

各種業界(電気・情報、鉄鋼、自動車、重工、電力、印刷、化学、窯業、ベンチャー、官公庁)の技術動向と将来展望、エンジニアの資質、エンジニアの経験談、キャリア形成・開発

教科書

参考書

必要に応じて、講師より講義に際して紹介

備考


科目名: 電磁気学 II (01) Electromagnetism II
担当教員: 松下 照男 (大学院情報工学研究院電子情報工学研究系) matusita@cse.kyutech.ac.jp
対象分野科目 選択必修科目 2単位
2年 後期 火曜2限目 1104講義室

授業の概要

本科目は電磁気学I・同演習に引続き、電子情報工学のあらゆる分野における基礎的現象である電気磁気現象についての基本的原理を理解させるためのものである。ここでは超伝導体や磁性体の磁気的な性質について講義し、電流系のインダクタンスや磁気エネルギーを講義する。これらの結果と電磁気学I・同演習の電気現象を対比させ、電気現象と磁気現象の総合的理解を助ける。さらに電磁界が時間的に変化した場合などの電磁誘導現象や変位電流について講義し、電磁気学の集大成であるマックスウェル方程式に至る。そしてその応用例として、表皮効果や電磁波などについて講義する。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

電磁気学IIは主として静電気現象を取り扱う電磁気学I・同演習の後に位置する科目であり、これらを併せて履修することにより、力学や統計力学と並んで物理学の根幹をなす電磁気学を習得させる。これにより、電気回路、電子回路、電子物理、半導体工学などの電子工学に関する専門科目の理解ができる。

授業項目 (授業計画)

(1) (7.1) 超伝導体の磁気的特性

(2) (7.2) 鏡像法、等ベクトルポテンシャル面

(3) (7.3) 超伝導体の磁化

(4) (8.1) 真空中の電流系、コイル、インダクタンス

(5) (8.2) 磁気エネルギー

(6) (8.3) 磁気力

(7) (9.1) 磁性体、磁化、磁化電流密度

(8) (9.2) 磁界、境界条件、磁束線の屈折

(9) (9.3) 電気現象と磁気現象の対応

(10) (10.1) 電磁誘導、ファラデーの法則(磁束則)、運動則

(11) (10.2) 磁気エネルギー

(12) (10.3) 表皮効果

(13) (11.1) 変異電流、マックスウェル方程式

(14) (11.2) 電磁ポテンシャル、ポインティングベクトル

(15) (12.1) 電磁波、平面電磁波の横波性、波動インピーダンス

各コマで以上の授業を行うが、演習やレポート問題の解答のため、授業計画が多少前後することがある。

授業の進め方

講義は基本的に教科書に従って行うが、理解を助けるためにパワーポイント教材を用いる。上記の項目を講義した後には例題を解き、演習を行う。例題は内容の理解を助ける目的であり、演習は理解の達成度を評価するために行う。さらに、教科書を予習してもらうことと復習の目的のために、各章ごとに簡単なレポート問題を課す。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

この講義は電子情報工学科の目標(C)にあげられている「電子工学、情報工学、コンピュータネットワーク(情報通信)の知識や技術の基礎的な素養を深め、応用に関する専門性を獲得する。」ことを目的としている。電磁気学IIでは、具体的には主に以下の項目を目標とする。

(1) 超伝導体における磁気現象を導体における電気現象と対応させて理解する。

(2) 電流と磁束量の関係からインダクタンスを求め、これと磁気エネルギーの関係を理解する。

(3) 電磁誘導や変位電流を理解し、変動環境下での電磁現象を理解する。

(4) マクスウェル方程式とその意味を理解する。

成績評価の基準および評価方法

上記の達成目標のうち、(1)についてはレポート問題の解答により評価する。それ以外の達成目標については演習、レポート問題と中間・期末試験の成績により総合的に評価する。評価の内訳は演習とレポートが20%、中間・期末試験が80%である。

キーワード

磁気現象、インダクタンス、ベクトルポテンシャル、超伝導体、磁性体、磁化、電磁誘導、変位電流、マックスウェル方程式、電磁波

教科書

松下照男: 新電磁気学(コロナ社)

参考書

太田昭男: 新しい電磁気学(培風館)

備考

講義に使用するパワーポイント教材は、事前に各自で以下にアクセスし、必要な部分をプリントアウトしておくこと。教材のファイルは電子情報工学科/電磁気学II/Teruo Matsushitaのところにあります。
 http://el-i.isc.kyutech.ac.jp/moodle


科目名: 回路とシステム (01) 
担当教員: 武藤 浩二 (ヒューマンライフIT開発センター) 
対象分野科目 選択必修科目 2単位
2年 後期 月曜3限目 1305講義室

授業の概要

携帯電話やDVD、ディジタルオーディオなど現代のエレクトロニクス製品は、半導体メモリやLSIが多用されている。しかし、メモリやLSIなどのディジタルデバイスの構成要素は、実際はコンデンサや抵抗およびトランジスタなどのアナログ回路である。
本講義では、抵抗やコンデンサなど受動素子で構成される基本的なパッシブ回路および数百MHz以上の周波数で使われる分布定数回路などのアナログシステムについて、時間領域および周波数領域の解析方法について学び、回路設計の橋渡しとする。
授業では理論ばかりでなく、SPICEやMatlabを利用した回路シミュレーションの手法も学び、計算機支援によるLSI化設計解析の基礎的方法も学習する。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

アナログ電気回路は、電子工学、通信工学、制御工学を学ぶ者にとって、最も重要な基礎理論の一つである。回路とシステムでは、実際に技術者として設計を行う際に役に立つように、実用性を意識して計算機を利用した電気回路の応答や周波数数特性の解析方法、信号のスペクトル解析手法および分布定数回路の解析方法について学習する。前もって習得が必要な科目は、線形代数、応用解析学、電気回路である。

授業項目 (授業計画)

(1) 授業の目的、電源と回路素子、交流理論の復習

(2) 微分方程式を用いた回路の表現‐インパルス応答と回路の応答

(3) ラプラス変換による回路の応答解析

(4) 節点解析と網目解析 

(5) SPICEによるアナログ回路の応答解析演習

(6) 回路網関数と周波数解析

(7) 中間試験

(8) 中間試験解答、回路網関数

(9) 分布定数回路の応答 I

(10) 分布定数回路の応答 II

(11) 信号の解析 I (フーリエ級数)

(12) 信号の解析 II (フーリエ変換)

(13) 離散時間信号とディジタルシステム

(14) Matlabを用いた信号処理システムの応答解析と周波数スペクトル解析演習

(15) 期末試験

授業の進め方

毎回のクイズを行い、理解の確認をする。また、計算機演習(SPICE・Matlab)及び章末問題の解答も適宜行い理解を深める。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

電子情報工学科が掲げる学習・教育目標のうち、教育目標(C)に掲げられている「電子工学、情報工学、コンピュータネットワーク(情報通信)の知識や技術の基礎的な素養を深め,応用に関する専門性を獲得する」ために、アナログ回路の理論的な解析手法を学び、システム設計の基礎とする。
具体的には次の事項を達成目標とする。
(1)アナログパッシブ回路の時間領域解析および周波数特性解析の方法を理解する。
(2)簡単なフィルタ等の回路設計や構成ができるようにする。
(3)マイクロ波回路(分布定数回路)の基礎的な解析方法を理解する。
(4)SPICEやMatlabによる回路シミュレーションを通し、計算機支援による回路設計手法を理解する。

成績評価の基準および評価方法

予習および授業に対する質問回答20+宿題・演習20十中間30十期末30=100

キーワード

RLC回路、アナログ回路、マイクロ化回路、分布定数回路、フーリエ変換、周波数特性、フィルタ、過度現象

教科書

武部、「回路の応答」、コロナ社

参考書

備考

オフィスアワー;毎週木曜16-17時


科目名: 現代物理学 II (02) Modern Physics II
担当教員: 高嶋  授 (先端エコフィッティング技術研究開発センター) takasima@cse.kyutech.ac.jp
対象分野科目 選択必修科目 2単位
2年 後期 水曜5限目 1304講義室

授業の概要

この授業は、質点の運動力学と波動力学から量子力学へと発展する学問領域と現代のエレクトロニクスの基礎となる量子力学について講義する。
エレクトロニクスデバイスは半導体中などの固体中の電子の振る舞いと電磁波との相互作用によって機能が発現しているので、ミクロな電子状態をシュレディンガー波動方程式を使って状態方程式を導きその性質や振る舞いを理解する。
この知識が、半導体デバイスや光デバイスを理解するうえで重要な基礎となる。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

現代物理1で学習する運動方程式や熱力学を基礎として重要で、これらの概念を発展させたものが量子力学である。
また、三角関数や指数関数の微分積分を用いて波動方程式を解き、電子の軌道やエネルギー、運動量などを求めるので、数学についても高度な知見が要求される。本授業と電子物理、統計力学などを履修することによって、後で学ぶ半導体工学、電子デバイス、電気材料などの工学的応用科目を深く理解することができる。

授業項目 (授業計画)

(1) 現代物理の歴史的背景

(2) 粒子と波動

(3) 電子と光について

(4) 自由電子

(5) 1次元井戸型ポテンシャルのシュレディンガー波動方程式

(6) エルミート演算子と固有関数、固有値

(7) 期待値および不確定性原理

(8) 電子の波動関数とエネルギー状態

(9) 固体の状態と電子状態

(10) 光の吸収と発光

(11) トンネル効果

(12) 量子効果による電子デバイス

(13) 温度の概念

授業の進め方

教科書は指定するがノート講義が主体となる。英語の専門用語をできるだけ用い英語による文章の読解ができるような講義をする。
講義の終わりに、その日に学んだことを復習するための小テストを随時行う。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

この授業は、具体的には次の事項を達成目標とする。

(1) 学生に、電子や光の性質について深く理解し、量子力学に基づく現代物理の基礎的な知識を習得させる。

(2) 学生に、量子力学基礎となる一次元の井戸型ポテンシャルに閉じ込められた電子の状態方程式、分布状態、エネルギー状態などについて十分に理解させる。

(3) 学生に、量子力学の基本的なコンセプトを理解することによって、固体の電気的特性や光学的性質がどのような電子状態に由来するのかを理解させる。

(4) 学生に、様々なエレクトロニクスデバイスの機能や特性が、ここで学んだ量子力学的考察によって説明ができるようにする。

「学習・教育目標」(B)自然科学に対する理解を深め、情報科学、数学、物理学などの基礎学力を育成する。

成績評価の基準および評価方法

(1),(3),(4)については、期末試験の成績により総合的に評価(70%)し、(2)については、演習課題に対するレポートにより評価(30%)する。

キーワード

状態関数、電子状態、固有値、期待値、固有関数、シュレディンガー波動方程式、量子力学、光吸収、発光、トンネル効果、半導体、新素材、温度

教科書

小野イク郎 編「現代物理学」 森北出版

参考書

  • Donald A. McQuarrie 著 「Quantum Chemistry」University Science Books, Mill Valley, California (1983).
  • 中嶋貞雄 著 「量子力学I」岩波書店、物理入門コース (2000)
  • 神成文彦著 「量子工学」 培風館 (2000)

備考


科目名: 電子情報工学実験 I (01) Experiments of Computer Science and Electronics I
担当教員: 小田部 エドモンド 荘司 (大学院情報工学研究院電子情報工学研究系) otabe@cse.kyutech.ac.jp
対象分野科目 必修科目 1単位
2年 後期 水曜3限目 水曜4限目 金曜3限目 金曜4限目

授業の概要

この授業は実験科目であり、実験や演習を数週間行った後、口頭によるプレゼンテーションあるいはレポート提出により実験の報告を行う形式をとる。内容は電子情報工学科のカリキュラムに沿ってより専門的になっている。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

電子情報工学実験Iは、情報基礎実験I,IIに引き続いて行われる。さらに専門性が強くなり、問題も基礎実験のように完全に与えられておらず、問題を探し設定し解くという過程が加わっている。この実験の後、電子情報工学実験IIがあり、さらに電子情報工学セミナーIIがある。そこではさらに専門性が強まり、PBL的な要素が加わることになる。

授業項目 (授業計画)

(1) プレゼンテーションの行い方(藤原)

(2) コンピュータネットワーク実験(尾家、塚本)

(3) Mathematicaによる計算処理(小田部)

(4) 効率のよいアルゴリズムの調査と実現(藤原)

授業の進め方

この講義は、藤原・尾家、塚本・小田部の教員で行われる。最初のガイダンスで全体の進め方を解説する。このガイダンスの直後にプレゼンテーションの行い方を講義する。実験テーマは全部で3テーマある。これらを4週間ほどかけて実験や演習を行い、最後の週にプレゼンテーションを行う。レポートを出すテーマも含まれている。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

この講義は電子情報工学科の目標(D)にあげられている「課題に対して、さまざまな知識を統合して解決できる方法を自主的に探る能力を養う。」ことを目的としている。これはテーマごとに問題が異なり、また個人個人で作る作品が違うような問題設定もあることから、広く問題を捉えることができることを目指している。つまり、種々の学問に関する知識を用いて課題に対する問題解決を行う能力の習得(知識融合による問題解決能力)と、課題に対して新しい解決方法を創造する能力の習得(創造的問題解決能力)も目指す。また目標(E)「制約条件の下に自ら計画を立てて継続的に学習し、結果をまとめ上げることができる能力を養う。」も目的としている。また目標(F)「論理的な記述力,口頭発表力,対話力などのコミュニケーション能力をつける。」がある。これは最近レポートだけでなく口頭発表をしたり、その後の質問を通じての議論をする機会を通じて目標を達成しようとするものである。

成績評価の基準および評価方法

上記の達成目標は口頭発表によるプレゼンテーション、概要提出、レポート提出を通じて総合的に評価する。評価する内容は具体的にはプレゼンテーション能力、デザイン能力、達成度であり、特にプレゼンテーションについては聴衆である学生からも採点していただく。試験や再試験は行わない。

キーワード

実験、ネットワーク、アルゴリズム、Mathematica

教科書

「平成21年度 電子情報工学実験I指導書」生協で販売

「工学系のためのMathematica入門」小田部荘司 生協で販売

参考書


備考


科目名: オブジェクト指向プログラミング (01) Object-oriented Programming
担当教員: 大西 圭 (大学院情報工学研究院電子情報工学研究系) ohnishi@cse.kyutech.ac.jp
情報科目 選択科目 2単位
2年 後期 木曜3限目 1301講義室

授業の概要

ソフトウェア工学において重要なオブジェクト指向の概念について講義する。また、オブジェクト指向プログラミング言語の一つであるJavaについて、C言語との違いを示しながら講義する。また、Javaによるプログラミング演習を適時行う。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

「プログラミング」、「データ構造とアルゴリズム」、「プログラム設計」の履修を前提とする。

授業項目 (授業計画)

(1) オブジェクト指向の概念

(2) Javaの歴史

(3) Javaプログラムの基本構成

(4) コンパイルと実行

(5) フロー制御文とデータ型

(6) クラスとオブジェクト

(7) メソッドとフィールド

(8) コンストラクタ

(9) 継承

(10) インタフェース

(11) 総称

(12) 例外処理

(13) クラスライブラリ

(14) スレッド

(15) 期末試験

授業の進め方

講義と並行して計算機演習を行う。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

この授業は、電子情報工学科の学習・教育目標(C-2-2) に掲げられている「計算機を使ってソフトウェアにより実現できる応用技術を習得し、理解している」のために、まず講義を通じて、抽象的なオブジェクト指向の概念とその特長を理解させ、次に講義と演習を通じて、その概念の具体化となるJavaプログラミング言語の基本を習得させることを目指す。

具体的には以下の項目を目標とする。

(1) オブジェクト指向の概念を理解する。

(2) オブジェクト指向プログラム開発の方法論を理解する。

(3) オブジェクト指向プログラミング言語であるJavaの基本を理解する。

成績評価の基準および評価方法

上記に掲げる具体的な達成目標のうち、(1)(2)については、期末試験(40%)と中間試験(20%)により評価する。また、(2)(3)については、演習課題に対するレポートの内容により評価する(40%)。

キーワード

オブジェクト指向、プログラミング、Java

教科書

  • 九州工業大学の学習支援サービス上で資料を公開する。

参考書

  • Tucker著:憂鬱なプログラマのためのオブジェクト指向開発講座(翔泳社)
  • シャロン・ザクァワ他著:Javaチュートリアル 第4版(ピアソンエデュケーション)

備考


科目名: オートマトン理論 (01) Automata Theory
担当教員: 藤原 暁宏 (大学院情報工学研究院電子情報工学研究系) fujiwara@cse.kyutech.ac.jp
情報科目 選択必修科目 2単位
2年 後期 月曜5限目 1305講義室

授業の概要

“オートマトン” は、現在の計算機に共通する計算の原理の数学的モデルであり、”形式言語”は、プログラミング言語、自然言語処理における基礎分野である。この講義では、この2つについて体系的に講義するとともに、この2つを用いて定義される計算能力のクラスについても教授する。(関連する学習教育目標:C-2-1)

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

計算機科学の基礎理論分野であり、今後の情報系理論科目を学ぶ基礎となる。「離散数学」の単位を履修していることを前提とする。

授業項目 (授業計画)

(1) オートマトンと形式言語の基礎

(2) 順序機械(定義、状態遷移図、状態遷移表、簡単化)

(3) 有限オートマトンの定義とオートマトンの等価性

(4) 非決定性有限オートマトンとε-動作を持つ有限オートマトン

(5) 正規言語、正規表現

(6) 例題演習(1)

(7) 中間試験

(8) 形式文法の定義、及び、正規文法と有限オートマトンの関係

(9) 文脈自由文法、文脈自由言語

(10) プッシュダウンオートマトン

(11) チューリング機械

(12) 計算可能性、決定問題

(13) コンパイラの基礎と構文解析

(14) 例題演習(2)

(15) 期末試験

授業の進め方

配布資料を中心とした講義を行なう。また、各講義の最後に演習課題を課すとともに、中間試験、期末試験を各1回実施する。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

この講義では、電子情報法工学科の学習・教育目標(C-2-1)に掲げられている「ハードウェアとソフトウェアの関係から動作原理を理解している。」という目標を達成するため、計算機の動作の基礎概念であるオートマトンを理解させるとともに、プログラミング言語や人工知能の基礎である形式言語の基礎についても修得させる。これにより、以下の内容の基本的事項を理解し、それに関する基本的問題を解くことができることを目標とする。

(1) 有限オートマトンの定義,動作を理解し、簡単な有限オートマトンを設計できる。

(2) 等価な有限オートマトンへの変換方法を理解する。

(3) 形式言語の定義、言語生成方法、及び、簡単な形式言語の設計方法を理解する。

(4) 有限オートマトンと形式言語の等価性、及び、言語のクラス階層について理解する。

成績評価の基準および評価方法

毎回の演習課題(20%)により達成目標(1),(2),(3),(4)の達成度を段階的に評価する。また、達成目標の(1), (2)については中間試験(40%)において、達成目標の(3),(4)については期末試験(40%)において総合的に評価する。

キーワード

オートマトン、形式言語、チューリング機械、計算可能性

教科書

講義資料を毎回配付する。なお、この講義資料はWebにて閲覧可能である。

参考書

  • 富田悦二、横森 貴: オートマトン・言語理論(基礎情報工学シリーズ5) (森北出版)
  • 都倉信樹: オートマトンと形式言語 (昭晃堂)

備考


科目名: 論理システム設計 (01) Logic System Design
担当教員: 笹尾 勤 (大学院情報工学研究院電子情報工学研究系) sasao@cse.kyutech.ac.jp
情報科目 選択必修科目 2単位
2年 後期 火曜3限目 1104講義室

授業の概要

本授業では、パソコン等に利用されているマイクロプロセッサを主に扱い、その高速化技術について講義する。
具体的には、プロセッサの構成、制御、メモリ、入出力、命令セットアーキテクチャなどノイマン型計算機の基本構成や動作原理を講義する。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

電子情報工学科の学習・教育目標(C-2-1)に掲げられている
「ハードウエアとソフトウエアの関係から動作原理を理解している,」のうちの、計算機の構成を理解することを目標とする.
カリキュラムにおけるこの授業の位置付け
1年前期の「計算機システムI」、1年後期の「計算機システムII」の授業で教育される計算機の基本概念に関する知識、
2年前期の「論理回路」の授業で教育されるハードウエアの基本に関する知識を踏まえ、
プロセッサ内部に密接なアーキテクチャに関する教育を行う。この授業は、3年前期の「オペレーティングシステムE」に続く。

授業項目 (授業計画)

(1) コンピュータアーキテクチャ入門(1)
 ディジタル表現、負の数、実数、加算器、ALU,フリップフロップ、レジスタ、計算のサイクル

(2) コンピュータアーキテクチャ入門(2)
 演算回路:加算器、乗算器、比較器、デコーダ、マルチプレクサ、デマルチプレクサ、
 

(3) 中間試験(1)

(4) データの流れと制御の流れ
主記憶装置、メモリの構成と分類、レジスタファイル、

(5) 命令、命令実行の仕組み、実行サイクル、 算術論理演算命令、シーケンサ、条件分岐命令

(6) 命令セットアーキテクチャ
操作とオペランド、命令の表現形式、アセンブリ言語、命令セット、
算術論理演算命令、データ移動命令、分岐命令、アドレシング、サブルーチン、RISCとCISC

(7) パイプライン処理(1)
パイプラインの原理、命令パイプライン、オーバヘッド、構造ハザード、データハザード、制御ハザード

(8) パイプライン処理(2)
フォワーディング、遅延分岐、分岐予測、命令スケジューリング

(9) キャッシュ
記憶階層と局所性、透過性、キャッシュ、ライトスルーとライトバック、
ダイレクトマップ型、フルアソシアティブ型、セットアソシアティブ型、キャッシュミス

(10) 中間試験(2)

(11) 仮想記憶
仮想記憶、ページフォールト、TLB、物理アドレスキャッシュ、仮想アドレスキャッシュ、メモリアクセス機構

(12) 命令レベル並列処理
並列処理、並列処理パイプライン、VLIW、スーパスカラ、並列処理とハザード

(13) 入出力と周辺装置
周辺装置、ディスプレイ、二次記憶装置、ハードウェアインタフェース、

(14) 割り込みとポーリング、アービタ、DMA、例外処理

(15) 期末試験

授業の進め方

時間内では、上記のスケジュールに沿った講義を行う。また、演習を行う時間的余裕は無いため、適宜、演習問題を与え、自宅にて学習する。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

この授業は、電子情報工学科の学習・教育目標(B-1)
「計算機のハードウエアを構成する要素を理解し,論理回路の設計から計算機の構成までができる基礎を理解している」
および、学習・教育目標(E-1)に掲げられている「計算機の動作原理を理解する」を達成するために、
学生に計算機アーキテクチャ、特にプロセッサアーキテクチャの基礎を理解させることを目標とする。
具体的には以下の項目を目標とする。

(1)  計算機アーキテクチャに関する基本的な用語を理解させる。

(2)  プロセッサ性能の評価方法を理解させる。

(3) プロセッサ性能の改善方法を理解させる。

成績評価の基準および評価方法

中間試験(50点満点) と期末試験 (50点満点) を合計した得点により成績評価を行う。

キーワード

マイクロプロセッサ、パイプライン、キャッシュ、演算回路

教科書

  • 坂井修一:コンピュータアーキテクチャ(コロナ社)

参考書

  • 内田 啓一郎:コンピュータアーキテクチャ (オーム社)

備考