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教授
尾家 祐二

情報通信工学、分散計算機システム工学

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研究紹介

次世代ワイヤレスネットワークの研究

車車間通信におけるCognitive Radio Networks
最近、無線通信技術に対する割当周波数の枯渇問題から周波数へのアクセス権を保持するユーザ(プライマリユーザ)が周辺に存在しない場合、アクセス権を保持しないユーザ(セカンダリユーザ)がその周波数を利用可能なコグニティブ無線通信技術が注目されています。プライマリユーザの利用は時刻(時間的)・場所(空間的)に応じて変動するため、セカンダリユーザはこの変動を考慮し通信に用いる周波数を決定する必要があります。一方、車者間通信用の割当周波数はかなり限定されているため、多様な通信をサポートできないという問題があります。そこで、本研究では車車間通信にコグニティブ無線通信技術を用いることでより快適な車車間通信の実現を目指します。しかし車両の移動速度は早いため、通信路の確立や通信に用いる周波数の決定手法が必要となります。そこで、本研究では、車車間通信における送受信間のチャネル調整手法やマルチホップ通信時の経路制御手法に関して研究を行っております。
DTN(Dealy/Disruption/Disconnection Tolerant Networks)
従来のネットワークユーザは固定のPCを用いて有線ネットワークを介して通信を行っていたため、常に送受信ユーザ間の経路、いわゆるEnd-to-End経路が安定している環境となっていました。しかし、いつでもどこでもネットワークを利用したいという要望の高まりに伴い、無線を介した通信技術の研究開発の結果、モバイルユーザの数が急激に増加しています。そのため、現在の実際のネットワーク環境においては、遅延が極めて大きい、あるいは、パケットロスや回線中断が極めて頻繁に起こる、そもそも回線がたまにしか繋がらない、といった状況が頻繁に発生しています。このように、End-to-End通信が困難なネットワーク(劣通信環境)下においても、効率的な通信を実現するための技術として、近年DTN技術が着目されています。 そこで本研究では、劣悪な通信環境下においてユーザ間の公平性を実現するためのスケジューリング機構、及び情報伝達手法について研究を行っております。

Power Line Communication (PLC)に関する研究

最近、家庭内において家電製品をネットワークで結び、ホームネットワークを構築することで享受可能となる多種多様なサービスが登場しています。このホームネットワークの構築にあたっては、従来のイーサケーブルなどの有線によるものが一般的ですが、その敷設の困難さが問題となります。一方で数年前から無線LANに代表される無線ネットワークによる構築も行われてきましたが、敷設が簡単である一方でセキュリティに問題が残ります。そこで各家庭内に閉じられた上で、既に敷設されている電力線を通信媒体として用いる電力線通信:Power Line Communication(PLC)が注目されています。しかしPLCにおける通信には電力線を用いるため、家庭内に設置される機器や配線状況に依存して発生するノイズや電圧変化の影響を大きくうけることが予想されますが、そのネットワークレベルにおける性能調査は詳細には行われていません。そこで本研究では、これらの変化が通信性能に与える影響を調査し、その結果を元にPLC通信に適した送信量の制御手法、及び経路の制御手法について研究を行っております。

次世代TCPに関する研究

現在普及しているTCPは20年前に提案された初期プロトコルに対し、順次改良を加えたものになっています。しかし、20年前のネットワークの通信速度は極めて狭帯域(56Kb/s)であり、通信網も地理的に限定されたものであったため、現在の日米間のネットワークや衛星回線といった広帯域・高遅延のネットワークでは既存のTCPでは有効に動作しないことが明らかとなっています。また、ユーザ間の不公平性も問題となっています。そこで、本研究では、次世代ネットワークとして考えられる高速ネットワークや高遅延のネットワークにおいても効率的な通信を提供するためのTCPについて研究を行っております。

環境にやさしいネットワーク技術

これまでのネットワークは通信帯域の増強のみを目的として研究開発を進めてきました。その結果、コアネットワークにおいては通信帯域は最大100Gまで増加し、ある程度目的を達成したといえます。しかしその一方で、ネットワークを構成する機器の数が急激に増加するのに加えて、高性能を達成するために個々の機器の消費電力が増加するため、ネットワーク全体で消費する電力量は飛躍的に増大し、地球全体で消費する電力量に対して見ても、無視できないレベルまで増加してきています。そこで、本研究では、ネットワークの通信性能を維持しつつ、情報転送にかかる消費電力を削減することを目的とした、帯域の制御手法やネットワーク全体における経路の制御手法について着目して、研究を行っております。

その他の研究

  • センサネットワーク
  • 故障診断(Fault Diagnosis)
  • テスト生成(Test Generation)
  • テスト容易化設計(Design for Test)
  • テスト圧縮(Test Compression)
  • 組込み自己テスト(Built-In Self-Test)

研究室紹介

研究室には社会人の博士後期課程学生が多く在籍し、また多くの外部機関との研究プロジェクトや企業との共同研究も行っているため、学生時代から社会との関わりを持つ機会が多くなります。もちろん前期課程から進学する後期課程の学生も在籍し、学部四年生から後期課程まで幅広く学生が所属しているため、始めは「教わる」側、その後は「教える」側の立場と代わり、研究室を通じて様々な経験を積む事ができます。研究室の計算機環境は基本的に学生によって自主的に管理、運営されており、管理者としてのスキルを自然と身につけることができます。また、UCLAなどの海外の大学に共同研究者が多数いるため、英語を使ったミーティングの機会もあり、やる気があれば国際的な研究プロジェクトに参加することもできます。