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准教授
黒崎 正行

ディジタル信号処理、画像符号化、画像通信

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研究紹介

ディジタルシネマ画像伝送システムの研究開発

Digital Cinema Transmission using Next Generation Wireless LAN System
 現在、次世代ブロードバンドワイヤレス通信インフラとして注目されているメッシュネットワークを利用する将来のユビキタス社会においては、ハイビジョン画像(現状のMPEG2だけでなく次世代ディジタルシネマ規格JPEG2000も含めて)の伝送・配信が、ホームシアタ、TV会議、医療機関などで場所と時間を問わず自由に利用できることが望まれています。しかしながら、現状のワイヤレス通信インフラ(携帯電話網は言うに及ばす比較的高速な無線LANも含めて)では、600Mbps以上の伝送レートを必要とするディジタルシネマのワイヤレス伝送は技術的に困難であります。

最終的な目標

図1: 最終的な目標

 「家庭でも手軽に映画館を。」を目標(図1参照)に、本研究では、ワイヤレス・メッシュネットワークでの配信に適したディジタルシネマ動画像ワイヤレス伝送システムの開発を行なっています。開発しているシステムは、最高で1.5Gbpsもの伝送レートを有する世界最高速MIMO無線LANシステムです。我々の研究室では、LSI設計やディジタルシネマのセキュリティ伝送技術の研究開発を行っています。

(A)ディジタルシネマ画像伝送システム
ディジタルシネマとHDTV

図2: ディジタルシネマとHDTV

 ディジタルシネマの画像は、ハイビジョン画像の4倍のサイズの画像であり(図2参照)、この画像を扱うには、高速な処理速度を必要とします。また、無線伝送を行うと、伝送路での誤りにより、画質が劣化してしまいます。そこで、我々の研究室では、誤りに対する耐性を高め、高い画質での画像通信を行う研究を行っております(図3参照)。また、久留米工業高等専門学校と共同で、ディジタルシネマ画像伝送システムのオンラインシミュレータを研究開発しています。

B)画像伝送のための高速暗号システム
誤り耐性の比較

図3: 誤り耐性の比較

 また、このような高画質の画像を伝送する場合には、コンテンツを保護する必要があります。しかしながら、このような高速の暗号化システムは、まだ開発されていません。そこで、我々の研究室と、九州産業大学と共同で、ネットワーク上での不正アクセス等に耐性を有する画像または情報データのセキュリティのための高速暗号化技術を開発する。

 これらの研究の一部をハイビジョン画像のセキュア・ワイヤレス伝送技術に関する技術コンソーシア発足させ普及活動を行っております。

地上デジタルテレビジョン放送の移動体受信に関する研究

 日本では2003年12月から三大都市圏で地上デジタルTV放送が開始され、現在では、日本全国で地デジの視聴が可能になっています。日本の地上デジタルTV放送であるISDB-T方式では、ハイビジョン放送やワンセグを視聴することができますが、携帯電話や多くのカーナビでは「ワンセグ」しか視聴することができません。
 ハイビジョン放送は、家庭のTVのように移動しない固定受信を想定しています。そのため、移動体においてハイビジョン放送を受信する際には、ビルなどの反射によるマルチパスフェージングや移動しているために発生するドップラ等の影響が大きく、受信品質が劣化してしまいます。このような環境において受信品質を改善させるには、電波がどのような通信路を通ってきたのかを高精度に推定する必要があります。
 地上デジタル放送では伝送路推定を行うための特別な信号(スキャッタードパイロット(SP)と呼ぶ)が挿入されています。SPの挿入されている位置(時間-周波数)では、伝送路を高精度に推定することは可能ですが、SPはまばらにしか挿入されていないため、そのほかの部分は様々な補間手法を用いて推定する必要があります。
 我々の研究室では、従来の一次元補間処理手法(図4)を元に、二次元に拡張した高精度の伝送路推定手法の研究を行っています。併せて、消費電力を下げる研究も行っております。

その他の研究

  • 様々な画像処理および画像符号化
  • HDLを用いない高位レベルでのLSI設計
  • MIMO通信システム
  • 誤り訂正符号化