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准教授
川原 憲治

情報通信工学、確率論

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研究紹介

インターネットの普及に伴い、各種サーバやクライアントPC等の相互通信のための有線ネットワークにとどまらず、ノートPCや携帯電話・スマートフォンを利用する無線ネットワーク、さらには、環境情報取得や人間の社会的活動をサポートするセンサネットワークなどが相互接続された、「いつでも・どこでも・何でも・誰とでも」通信可能なユビキタスネットワークの実現が期待されています。
また一方で、ユビキタスネットワークのように大規模・複雑システムにおける多種多様なデータ通信を実現するにあたり、システムを構成する通信機器の冗長性を排除して消費電力を削減するようなGreen ICT技術の重要性も増してきています。
これらを鑑みて、我々の研究室は以下のようなテーマについての研究を行っています。

大規模・複雑ネットワークにおけるトラヒック制御に関する研究

 「インターネット」と総称されるシステムは種々の有線/無線ネットワークやセンサ・アクチュエータネットワークなどの相互接続により構成された大規模で、かつ構造が非常に複雑なシステムとみなすことができます。そのようなシステムにおいて、任意の送受信者間で要求する通信品質を満足する情報転送を行うためには、システムの特徴を生かしたトラヒック制御が必要となります。
 このような大規模・複雑システムを構成する通信機器の物理的なトポロジや、データ通信に関する論理的なトポロジは、スケールフリー性(スモールワールド性)を有することが示されています。
 そのために、本研究室では、ネットワークプロトコルの観点からみた基礎的な研究から、システムの性質を利用した応用的なトラヒック制御技術の検討、ならびに実装実験による検証を行っています。

ネットワーク省電力化を実現するGreen ICT技術に関する研究

 大規模ネットワークとは、任意の送受信者間で通信可能な伝送回線・通信機器に冗長性を有する、すなわち、いくつもの通信経路が存在する可能性のあることを示します。ネットワーク全体で収容している通信情報量が少ない場合、たとえば、転送帯域が大きい伝送回線や処理能力の高いルータ・スイッチに集約して転送することが可能であれば、他の伝送回線や通信機器の利用制限、もしくは、電源カットにより、ネットワーク全体として省電力化を図ることが可能になります。また、伝送回線一つにおいても、情報転送量の調整を送受信者に促すことにより、一時的な省電力化も考えられます。
 そのような、ネットワークにおける空間的・時間的な省電力化を可能とするGreen ICT技術の研究を行っています。

ユビキタスネットワークを実現するセンサ技術・コグニテイブ無線技術

 環境情報を取得し、人間の活動をサポートするセンサネットワークを構成するセンサノードは、通常広範囲に、かつ大量に配置され、自律的にネットワーク機能を構成します。それゆえ、バッテリを搭載した低機能通信デバイスの集合体とみなすことができますが、そのような制限化における通信技術や情報取得技術について研究しています。また、広大な無線周波数空間において利用可能な周波数空間、もしくは、時間帯を見極めつつ、通信ノードの移動に対して柔軟な無線通信環境を提供するコグニティブ無線技術についても着目しています。

研究室紹介

種々の研究・教育活動は、尾家・大西研や鶴研などネットワークグループとして一体となって行っていますが、研究室単体としては、例年、大学院博士前期(修士)の学生が5名、学部4年生が5名程度所属しています。まずは、研究室内における教育として、学部1~3年における座学中心の受け身の姿勢ではなく、個々が主体の積極的な行動ができるような指導をモットーに、配属された学生の個性を尊重して快適に過ごすことのできるような環境提供に努めています。