デジタル信号処理 (尾知 博)
科目名: デジタル信号処理 (01)
担当教員: 尾知 博 (大学院情報工学研究院電子情報工学研究系) ochi@cse.kyutech.ac.jp
対象分野科目 選択必修科目 2単位
3年 前期 水曜3限目 1404講義室
授業の概要
ディジタル信号処理は、音声/音響/画像のディジタル伝送のための基礎技術として、ディジタルオーディオ、DVD, 携帯電話などに広く利用されており、マルティメディア時代の基盤技術として必要不可欠となってきている。これらのマルチメディア機器のほとんどは、アナログ信号をディジタル信号に変換して処理するディジタル信号処理技術により実現されている。本講義では、ディジタル音像信号の表現とそのスペクトル解析の方法、信号処理システムの表現とその周波数特性の解析方法、信号の圧縮復元の方法とそのアルゴリズムなどについて学習する。
講義は、理論展開だけに留まらず、計算機シミュレーションも行い、具体的に理解できるように授業を進めていく。
授業では理論ばかりでなく、SPICEやMatlabを利用した計算機シミュレーションの手法も学んで行く。
カリキュラムにおけるこの授業の位置付け
デジタル信号処理は、電子工学、通信工学、制御工学を学ぶ者にとって、最も重要な基礎科目の一つである。本授業は、実際に技術者として設計を行う際に役に立つように、実用性を意識して計算機を利用したデジタル信号処理システムの応答や周波数数特性の解析方法、デジタル信号のスペクトル解析手法について学習する。
前もって習得が必要な科目は、線形代数、応用解析学、電気回路である。
授業項目 (授業計画)
- (1) デジタル信号処理システムのケーススタディ
アナログ回路との等価性- (2) 離散時間信号と離散時間システム(畳み込み)
- (3) 離散時間システムの周波数応答とフーリエ変換
- (4) フーリエ変換の性質とサンプリング定理
- (5) 離散フーリエ変換とDFTによるスペクトル解析
- (6) Matlab/Spiceによる信号のスペクトル解析演習
- (7) 中間試験
- (8) 高速フーリエ変換FFTと高速畳み込み
- (9) z変換と逆z変換
- (10) 伝達関数とシステムの周波数特性
- (11) システムの安定性解析
- (12) FIRフィルタの性質とDFTを用いた設計方法
- (13) Matlab/Spiceによるディジタルフィルタを用いたノイズリダクション演習
- (14) 期末試験解答
- (2) 離散時間信号と離散時間システム(畳み込み)
授業の進め方
毎回の授業でクイズを行い、理解の確認をする。また、計算機演習(SPICE・Matlab)及び章末問題の解答も適宜行い理解を深める。
授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)
電子情報工学科が掲げる学習教育目標の中の目標C「電子工学の知識や技術の基礎的な素養を深め、応用に関する専門性を獲得する」を達成するため、基本的な回路解析手法やSPICEによる計算機シュミレーション能力育成を目標とする。また、目標F「問題に対して自主的に解決できる方法を探り解決したり、さらに問題を発見する能力を養う。」を達成するため、問題に対して計算機を使って自主的に解決できる方法を探り解決する能力を教育する。具体的には次の事項を達成目標とする。学生にフーリエ変換や複素関数論の知識を使い、アナログパッシブ回路の時間領域解析および周波数特性解析の方法や簡単なフィルタ等の回路設計や構成ができるようにする。
成績評価の基準および評価方法
予習と授業に関するクイズ20+宿題・演習20十中間30十期末30=100
キーワード
RLC回路、アナログ回路、フーリエ変換、周波数特性、フィルタ、過度現象
教科書
尾知、「シミュレーションで学ぶディジタル信号処理」CQ出版
参考書
備考
オフィスアワー;毎週木曜16-17時