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知的財産概論 (中村 邦彦)


科目名: 知的財産概論 (01) 
担当教員: 中村 邦彦 (地域共同研究センター) 
対象分野科目 選択科目 2単位
3年 前期 集中講義等

授業の概要

21世紀は「知の世紀」であると言われており、我が国は熾烈な国際競争の中で将来の日本を支える礎として「科学技術創造立国」を目指すことを宣言しています。また、同時に「知的財産立国」を国家戦略として掲げ、創造した「知」を知的財産権として保護し活用することにより活力ある社会経済を実現しようとしています。この様な背景において、学生が社会に出て知的財産立国を支える一員として法令を遵守し、スムーズに知的財産権の権利化、活用、コミュニケーション等を行えるように、権利化・活用の基礎的な実務能力と法律的基礎知識を身につけさせ、また知的財産教育を通して学生に技術開発への意欲を植えつけさせることを目的としています。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

他の科目との関連は特にないが、人間科学科目等において、憲法、法律学、情報法などの法学科目があれば、履修しておくことが好ましいです。

授業項目 (授業計画)

(1) 知的財産権と日本のプロパテント政策

(1) 知的財産権 — 産業財産権(特許、実用新案、意匠、商標)、著作権、回路配置権、植物新品種、営業秘密等の概要を説明し、知的財産権とは何であるかの基礎的知識を修得します。

(2) プロパテント政策 — 大学において知的財産教育を行うようになった歴史と経緯、及び「知的財産立国」国家戦略と国の施策について概要を説明し、知的財産権概論を履修する意義を学習します。
  • 特許権
    (1) 特許は企業にとって重要な資産であり、特許取得を意識した技術開発を目指すことが技術者の一人ひとりに求められています。特許庁の「産業財産権標準テキスト 特許編」を用いて、日頃の課題研究・研究活動の中で生まれるアイデアを特許になる発明として把握し、これを出願書類にまとめて特許を取得するまでの基礎的な実務能力を修得します。

    (2) 特許権侵害訴訟、相当の対価請求訴訟等の実例を紹介し、討議により法律と係争への対応について学びます。

    (3) 特許庁審査官が先行特許調査に利用しているFターム検索を中心に、特許庁電子図書館を利用した演習を通して、基礎的な先行特許調査能力を修得します。

    (4) 実例紹介と演習を通して、明細書を書く初歩的な能力を修得します。
  • 著作権
    (1) 著作権は、主として出版物を保護対象としていましたが、近年保護対象が拡大され、プログラム、データベース等も含むようになりました。文化庁の「著作権テキスト」を用いて、著作権制度を学び、基礎的な知識を修得します。

    (2) 著作権侵害訴訟の実例を紹介し、討議により法律と係争について学びます。
  • 技術移転
    (1) 企業における特許の活用、技術移転の実態などについて特許庁の「産業財産権標準テキスト 流通編」を用いて学習し、ライセンス契約に関する基礎的な知識を習得します。
  • 営業秘密
    (1) 不正競争防止法と営業秘密の適正な取り扱いに関する知識、及び秘密保持契約に関する基礎的な知識を習得します。
  • 授業の進め方

    制度・法律等の学習、特許明細書、契約書及び係争に関するサンプルや実例の紹介とそれに関する批評と討議、並びに、特許検索や明細書案作成の実習等を行います。

    授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

    この科目は電子情報工学科が掲げる「学習・教育目標」の目標(A)から(Z)の内の次の事項をカバーする。(A)情報の技術者として必要な関係法律の知識を与え、これにより「広い視野と深い教養を備え、国際性と社会性を備えた豊かな人間を形成する」。 (G)法律学の理論、裁判の判決とそれに至るまでの議論を学び、これにより「論理的な記述力、口頭発表力、議論などのコミュケーション能力をつける」。 (H)著作権侵害、名誉毀損などの不法行為、刑事罰等を学び、これにより「技術者としての倫理、モラル、責任を理解し身につける」

    情報の技術者として必要な関係制度・法律と知的財産関連実務上の知識を与え、技術開発意欲を高揚し、社会で知的財産権の権利化、活用、議論及び交渉できる素地と遵法精神を備えた、社会性豊な技術者の形成を目指します。


    この授業は、具体的には次の項目を達成目標とします。

    (1) 学生に、知的財産関連の制度、法律、契約等の基礎的な知識を習得させ、知的財産権を活用する能力と契約履行義務、遵法精神を身に付けさせる。

    (2) 学生に、先行特許調査と特許明細書作成を実習させ、社会に出てスムーズに権利化の実務を行える基礎的な能力を身に付けさせる。

    (3) 学生に、知的財産関連契約や係争について理解させ、対応、交渉、議論を行える基礎的な能力を身に付けさせる。

    成績評価の基準および評価方法

    先行特許調査と特許明細書案作成について課題を提出させる(40%)。
    基本的な知的財産関連の制度・法律を理解したのか確認するために、試験を実施する(60%)。

    キーワード

    知的財産、産業財産権、特許、実用新案、意匠、商標、著作権、営業秘密、技術移転、実施許諾契約、ライセンス契約

    教科書

    • 特許庁作成「産業財産権標準テキスト 特許編」 (仕様:B5判・カラー214頁)
    • 特許庁作成「産業財産権標準テキスト 流通編」(仕様:B5判・カラー144頁)
    • 文化庁作成「著作権テキスト」 (仕様:A4判101頁)
    • その他自作の配布資料

    参考書

    備考