電磁気学 II (松下 照男)
科目名: 電磁気学 II (01) Electromagnetism II
担当教員: 松下 照男 (大学院情報工学研究院電子情報工学研究系) matusita@cse.kyutech.ac.jp
対象分野科目 選択必修科目 2単位
2年 後期 火曜2限目 1104講義室
授業の概要
本科目は電磁気学I・同演習に引続き、電子情報工学のあらゆる分野における基礎的現象である電気磁気現象についての基本的原理を理解させるためのものである。ここでは超伝導体や磁性体の磁気的な性質について講義し、電流系のインダクタンスや磁気エネルギーを講義する。これらの結果と電磁気学I・同演習の電気現象を対比させ、電気現象と磁気現象の総合的理解を助ける。さらに電磁界が時間的に変化した場合などの電磁誘導現象や変位電流について講義し、電磁気学の集大成であるマックスウェル方程式に至る。そしてその応用例として、表皮効果や電磁波などについて講義する。
カリキュラムにおけるこの授業の位置付け
電磁気学IIは主として静電気現象を取り扱う電磁気学I・同演習の後に位置する科目であり、これらを併せて履修することにより、力学や統計力学と並んで物理学の根幹をなす電磁気学を習得させる。これにより、電気回路、電子回路、電子物理、半導体工学などの電子工学に関する専門科目の理解ができる。
授業項目 (授業計画)
- (1) (7.1) 超伝導体の磁気的特性
- (2) (7.2) 鏡像法、等ベクトルポテンシャル面
- (3) (7.3) 超伝導体の磁化
- (4) (8.1) 真空中の電流系、コイル、インダクタンス
- (5) (8.2) 磁気エネルギー
- (6) (8.3) 磁気力
- (7) (9.1) 磁性体、磁化、磁化電流密度
- (8) (9.2) 磁界、境界条件、磁束線の屈折
- (9) (9.3) 電気現象と磁気現象の対応
- (10) (10.1) 電磁誘導、ファラデーの法則(磁束則)、運動則
- (11) (10.2) 磁気エネルギー
- (12) (10.3) 表皮効果
- (13) (11.1) 変異電流、マックスウェル方程式
- (14) (11.2) 電磁ポテンシャル、ポインティングベクトル
- (15) (12.1) 電磁波、平面電磁波の横波性、波動インピーダンス
- (2) (7.2) 鏡像法、等ベクトルポテンシャル面
各コマで以上の授業を行うが、演習やレポート問題の解答のため、授業計画が多少前後することがある。
授業の進め方
講義は基本的に教科書に従って行うが、理解を助けるためにパワーポイント教材を用いる。上記の項目を講義した後には例題を解き、演習を行う。例題は内容の理解を助ける目的であり、演習は理解の達成度を評価するために行う。さらに、教科書を予習してもらうことと復習の目的のために、各章ごとに簡単なレポート問題を課す。
授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)
この講義は電子情報工学科の目標(C)にあげられている「電子工学、情報工学、コンピュータネットワーク(情報通信)の知識や技術の基礎的な素養を深め、応用に関する専門性を獲得する。」ことを目的としている。電磁気学IIでは、具体的には主に以下の項目を目標とする。
- (1) 超伝導体における磁気現象を導体における電気現象と対応させて理解する。
- (2) 電流と磁束量の関係からインダクタンスを求め、これと磁気エネルギーの関係を理解する。
- (3) 電磁誘導や変位電流を理解し、変動環境下での電磁現象を理解する。
- (4) マクスウェル方程式とその意味を理解する。
- (2) 電流と磁束量の関係からインダクタンスを求め、これと磁気エネルギーの関係を理解する。
成績評価の基準および評価方法
上記の達成目標のうち、(1)についてはレポート問題の解答により評価する。それ以外の達成目標については演習、レポート問題と中間・期末試験の成績により総合的に評価する。評価の内訳は演習とレポートが20%、中間・期末試験が80%である。
キーワード
磁気現象、インダクタンス、ベクトルポテンシャル、超伝導体、磁性体、磁化、電磁誘導、変位電流、マックスウェル方程式、電磁波
教科書
松下照男: 新電磁気学(コロナ社)
参考書
太田昭男: 新しい電磁気学(培風館)
備考
講義に使用するパワーポイント教材は、事前に各自で以下にアクセスし、必要な部分をプリントアウトしておくこと。教材のファイルは電子情報工学科/電磁気学II/Teruo Matsushitaのところにあります。
http://el-i.isc.kyutech.ac.jp/moodle