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生体情報システムE (立野 勝巳)


科目名: 生体情報システムE (01) Biological Information System E
担当教員: 立野 勝巳 (生命体工学研究科脳情報専攻) tateno@brain.kyutech.ac.jp
情報科目 選択科目 2単位
3年 後期 集中講義等

授業の概要

脳の神経回路網を構成するニューロンの基本的性質や信号伝達の仕組みについてまず講義する。次に、これらの仕組みが動物の運動制御にどのように使われているか、脊髄反射や小脳の神経回路を例に取って講義する。また、感覚系の情報処理について講義する。最後に、学習や記憶の神経機構について講義する。

カリキュラムにおけるこの授業の位置付け

現在、脳は、医学や薬理学の分野に留まらず、広く理工学の分野でも研究されており、特に、情報科学としての脳の研究は現代のトピックスの一つである。本講義の内容はその入門編であり、大学院で学ぶ脳の情報処理機能を理解するための基礎となる。特に前提とする科目は無い。学部の教養課程レベルの知識があれば十分理解できるように配慮した講義を行う。

授業項目 (授業計画)

(1) 神経生理学入門:静止膜電位

(2) 神経生理学入門:活動電位

(3) 神経生理学入門:シナプス電位

(4) 神経生理学入門:Hodgkin-Huxleyモデル

(5) 神経系におけるシグナリングと運動制御:伸張反射、感覚受容器、筋紡錘

(6) 神経系におけるシグナリングと運動制御:小脳の神経回路、小脳の運動制御

(7) 感覚情報処理:視覚

(8) 感覚情報処理:味覚

(9) 感覚情報処理:嗅覚

(10) 感覚情報処理:聴覚

(11) 感覚情報処理:体性感覚

(12) 学習と記憶:テタヌス刺激後増強

(13) 学習と記憶:海馬におけるシナプス伝達効率の長期増強

(14) 学習と記憶:海馬の学習と空間認知

授業の進め方

パワーポイントを用い、上記の授業項目に従って講義する。下記の教科書以外に、パワーポイントのスライドのコピーを資料として配布する。集中講義であるので、講義を主とし、適宜質疑応答の時間を設ける。

授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)

この授業は、電子情報工学科の目標(C)に掲げられている「電子工学、情報工学、コンピュータネットワーク(情報通信)の知識や技術の基礎的な素養を深め,応用に関する専門性を獲得する」のために、脳の基本的な情報処理機構を理解することを目標とする。

具体的には次の事項を達成目標とする。

(1) 脳の情報処理機構に関して基礎的な知識を習得する。

(2) センサ、ニューロン、筋および小脳から成る脳の運動制御系の仕組みを理解する。

(3) 動物の感覚情報処理の仕組みを理解する。

(4) 脳の学習・記憶の基本機構を理解する。

成績評価の基準および評価方法

(1)(2)(3)(4)について、授業の内容をまとめたレポートにより評価する(100%)。レポートは次の点に関して評価する。a. 授業の内容を正しく理解しているか(40%)、b. 講義の内容について必要十分な内容のレポートであるか(30%)、c. 論理的にかつ分かりやすく書いているか(30%)。また、欠席の回数に応じて減点する。

キーワード

脳、ニューロン、膜電位、シナプス、活動電位、Hodgkin-Huxleyモデル、伸張反射、感覚受容器、小脳、運動制御と学習、神経回路、視覚、味覚、嗅覚、聴覚、体性感覚、海馬、シナプス伝達効率の長期増強、空間認知と学習

教科書

林初男:神経システムの非線形現象(コロナ社)

参考書

  • 林 初男: 脳とカオス(裳華房)
  • 安井湘三: 感覚情報処理(コロナ社)
  • J.G. Nicholls, B.G. Wallace, P.A. Fuchs, and A.R. Martin: From Neuron to Brain (4th Edition) (Sinauer Associates)
  • E.R. Kandel, J.H. Schwartz, and T.M. Jessell: Principles of Neural Science (4th Edition) (McGraw-Hill)
  • 小林春雄、熊谷鴻之助、畠中 寛: 神経情報生物学入門(オーム社)
  • G. M. Shepherd: Neurobiology (Oxford University Press)

備考