論理設計 (笹尾 勤)
科目名: 論理設計 (01) Logic Design
担当教員: 笹尾 勤 (大学院情報工学研究院電子情報工学研究系) sasao@cse.kyutech.ac.jp
情報科目 選択必修科目 2単位
2年 前期 火曜3限目 1204講義室
授業の概要
コンピュータ内部では、すべての情報が2種類の記号の組み合わせ(2値情報)として表現され、
論理演算や算術演算などの処理が行われる。この2値情報を処理する回路を一般に、論理回路という。
本講義では、論理回路の解析や合成を行うための基礎を講義する。具体的には、
『組合せ論理回路』としては、論理関数の表現、論理回路と論理式、論理式の簡単化などを、
『順序回路』としては、状態図、状態割当と励起表、フリップ・フロップ、状態数最小化
状態割当、組合せ回路の過渡応答、非同期式順序回路を講義する。
カリキュラムにおけるこの授業の位置付け
電子情報工学科の学習・教育目標(B-1-2)に掲げられている「計算機のハードウエアの構成要素やそのしくみを理解している。」および、
教育目標(C-2-2)の「計算機をつかってソフトウエアにより実現できる応用技術を習得し、理解している。」を達成するために、論理回路の解析や設計
ができるようになることを目標とする.具体的には,与えられた論理回路の動作を調べたり、逆に、与えられた仕様を満たす組合せ論理回路を設計する方法を教授する。個々の論理素子の構造や動作には立ち入らず、AND, OR, NOT等のゲートレベルの設計をブール代数を用いて取り扱う。従って電子回路、半導体、集積回路等の詳細な知識は不要である。また、本科目は2年後期で履修する『論理システム設計』の基礎となる。
授業項目 (授業計画)
- (1) 論理素子と論理回路
- (2) 論理和形と論理積形
- (3) シャノン展開とリード・マラー展開、BDD(二分決定グラフ)
- (4) 論理和形と二段論理式
- (5) n次元立方体とカルノー図、主項と最小論理和形
- (6) 論理式の簡単化
- (7) 中間試験
- (8) 順序回路と状態図
- (9) 状態割当と励起表
- (10) フリップ・フロップ
- (11) 順序回路の構成
- (12) 状態数最小化
- (13) 組合せ回路の過渡応答
- (14) 非同期式順序回路
- (15) 期末試験
- (2) 論理和形と論理積形
授業の進め方
基礎的な定理とその証明および、具体的解法について講義を行う。演習を行う時間的余裕は無いため、教科書にある多数の演習問題を自宅にて学習する。
授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)
この授業は, 電子情報工学科の学習・教育目標 (B) に掲げられている「自然科学に対する理解を深め、情報科学、数学、物理学等の基礎学力を育成する」ために、論理設計の基礎 (ブール代数、論理関数、論理式等) を理解し、論理設計に取り組む上で必要となる物の見方、および論理的思考を養うことを目標とする。具体的には、以下の項目を目標とする。
- (1) 与えられた論理回路の動作を言葉,真理値表,論理式、状態図で表現し、
逆に、与えられた仕様を満たす組合せ論理回路や順序回路を設計する方法を修得させる。
- (2) AND, OR, NOT等のゲートレベルの設計をブール代数を用いて取り扱う技術を習得させる。
- (2) AND, OR, NOT等のゲートレベルの設計をブール代数を用いて取り扱う技術を習得させる。
成績評価の基準および評価方法
学生が論理回路の機能を解析する考え方を正しく理解しているか、また、与えられた仕様を満たす論理回路を合成する手法を理解しているかに関して、中間試験(50点満点) と期末試験 (50点満点) を合計した得点により成績評価を行う。
キーワード
ブール代数,論理回路,ゲート,論理関数,論理式,論理式の簡単化,
カルノー図,クワイン・マクラスキー法,順序回路,状態図,
状態割当,励起表,フリップ・フロップ,順序回路の構成,
状態数最小化,組合せ回路の過渡応答,非同期式順序回路
教科書
- 笹尾 勤: 論理設計-スイッチング回路理論[第4版](近代科学社)
参考書
- 室賀三郎、笹尾 勤: 論理設計とスイッチング理論(共立出版)
- 当麻喜弘: スイッチング回路理論(コロナ社)
- 山田輝彦: 論理回路論 (森北出版)