技術者概論 (池田 克郎)
科目名: 技術者概論 (01) Engineer outline
担当教員: 池田 克郎 (非常勤教員)
対象分野科目 必修科目 1単位
2年 前期 集中講義等
授業の概要
この授業は、市場環境が大きく変化する国際化時代の中で技術者が専門性を発揮して成果を出す事を支える基盤能力(=コンピタンシー:状況の変化にかかわらず高い成果を生み出す為に、行動として安定的に発揮出来る基本能力で専門能力発揮のベースとなるもの)の強化を図る為に、技術者にとって特に大切と考えられる複数のコンピタンシーに着目し、それに関する講義と演習を通して学生に基礎的な能力を付ける。
カリキュラムにおけるこの授業の位置付け
2年生でこの基盤能力強化の基本知識を付けた後、4年生で取り組む卒業研究テーマ遂行の中で、従来から行われている技術専門的能力の修得に併せてコンピタンシーを実践的に強化する場として活用する。
これによって、専門的能力とそれを加速させる基盤能力を併せ持った技術者を養成する一貫性のある教育カリキュラムとなる。
その為にコンピタンシー強化の教育指導要領を整備し、それに添った体系的な指導を行う。
授業項目 (授業計画)
- (1) 環境変化と求められる人材と能力
- (1) 環境変化:変化の要素、競争度のレベル、勝ちパターンの変化、人材管理の変化
- (2) 求められる人材と能力:労働力から人的資本へ、能力の3層モデル、標準コンピタンシー
- (1) パラダイムシフト:自立が求められる理由、依存状態から自立状態へ
- (2) 自立化への3ステップ:自己責任、自己リーダーシップ、自己管理、価値観の自己評価
- (1) 論理学の基本:論理力が必要な理由、帰納法と演繹法、論理的である為の5つの条件
- (2) フレームワーク:フレームワークの作り方、ロジックツリー、MECE
- (3) 仮説思考:仮説思考とは、情報収集と仮説思考、論理力と説得力
- (2) フレームワーク:フレームワークの作り方、ロジックツリー、MECE
- (1) 求められる課題設定力:求められる理由、役割自己完結型へ、課題とは、
- (2) 課題設定の全体思考プロセス:帰納法的思考道筋と演繹法的思考道筋、チーム共創時代
- (3) 思考ステップ:機能定義、機能展開、機能決定、システム整理、サブシステム分解
- (4) 発想法:ランダム発想とゼロベース発想
- (2) 課題設定の全体思考プロセス:帰納法的思考道筋と演繹法的思考道筋、チーム共創時代
- (1) 多様性の重要性:多様性チームの中から創造的第三案
- (2) 個性の源泉:脳の構造と働き、新皮質と辺縁系/右脳と左脳
- (3) 個性の特徴把握:ハーマンモデルテスト
- (4) 個性把握結果の活用:チームビルディング、適材適所、育成、リーダーシップ
- (2) 個性の源泉:脳の構造と働き、新皮質と辺縁系/右脳と左脳
- (1) プレゼンテーションの重要性:欧米人とのコミュニケーション、以心伝心の限界、機会の増加
- (2) 良いプレゼンテーションの構成:コンテンツ(内容)とデリバリー(説明)
- (3) プレゼンテーション資料の作成手順:4ステップ(メインメッセージ・論理構築・証拠の証明・資料の作成)の手順と内容
- (4) デリバリー(説明):練習、準備、説明の実際、相手を動かす
- (2) 良いプレゼンテーションの構成:コンテンツ(内容)とデリバリー(説明)
- (1) リーダーシップを発揮する為の条件:目的と手法
- (2) リーダーシップ発揮の要件:普遍的要素、共通要素、状況対応要素
- (3) リーダーシップの類型:人間関係型、制度型、技術型、ビジョン型、政治運動型
- (4) 組織の成長とリーダーシップ:エンパワーメント、コーチング
- (2) リーダーシップ発揮の要件:普遍的要素、共通要素、状況対応要素
- (1) 異文化理解の意義:文化の違いの理解を通じて国際人の基礎能力を向上する
- (2) 日本人のコミュニケーション上の5つの弱点
- (3) 文化の違いの認識:20項目
- (2) 日本人のコミュニケーション上の5つの弱点
- (1) 自己実現の成長サイクル
- (2) レポート課題出題の目的と意図
授業の進め方
合計15コマの授業時間を以下のテーマを割り付けて講義する。
環境変化および自立化(3コマ) 論理思考(3コマ) 課題構築・解決力(4コマ)異質理解(2コマ)、異文化理解(1コマ)、プレゼンテーション(1コマ)、リーダーシップ(1コマ)
尚、何れの授業も知識修得よりむしろ実践的教育で修得させるべき内容であるので、基礎知識の講義と併せて、インタラクティブな講義方式や演習・ケーススタディー、グループ討議と発表などの方法を極力取り入れ実践力が付く様に工夫して進める。
又、自分の“思考行動の特性”や“仕事環境の好み”を活かした自立的な適職の発見や進路選択、キャリア設計の参考に供する為に以下の自己認識評価プログラムも加える。
“価値観”“コンピタンシ”“思考行動の特性”“リーダーシップのスタイル”“仮想的有能感”
授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)
この授業は、電子情報工学科の掲げる「学習・教育目標」の中の
(A)広い視野と深い教養を備え、国際性と社会性を備えた豊かな人間を形成する(技術に堪能な士君子)に対して学生に総合的に意義の理解と自覚を与え、
(D)課題に対して、さまざまな知識を統合して解決できる方法を自主的に探る能力を養う
(E)制約条件の下で自ら計画を立てて継続的に学習し、結果をまとめ上げることができる能力を養う
(F)論理的な記述力、口頭発表力、対話力などのコミュニケーション能力をつける。
に対して直接的に、実践的に役立つ基礎的な知識能力を習得させるものである。
成績評価の基準および評価方法
この授業の達成目標としている項目に対して、インタラクティブレクチャーの中での設問、問い掛けに対する回答状況と講義終了後に出題する設問のレポート提出内容を総合してこの授業の成績評価とする。
キーワード
自立化の条件、コンピタンシー、帰納法と演繹法、5つの論理的条件、フレームワーク、仮説思考、ロジックツリー、MECE(ミーシー)、機能定義、機能展開、システム整理、ランダム発想とゼロベース発想、大脳新皮質/大脳辺縁系、右脳/左脳、ハーマンモデル、良いプレゼンテーションの条件、リーダーシップ、エンパワーメント、コーチング、異文化理解、日本人のコミュニケーション上の弱点
教科書
講義資料および演習課題を配布する。
参考書
- (1) 論理思考と発想の技術(後正武著)
- (2) 考える技術・書く技術(バーバラミント著)
- (3) MBAクリティカル・シンキング(グロービス・マネージメント・インスティチュート著)
- (4) プロフェッショナル・プレゼンテーション(土井哲・高橋俊介著)
- (5) 7つの習慣(スチーブン・コビー著)
- (6) システム設計の実際(吉屋龍一著)
- (7) 人材マネージメント論(高橋俊介著)
- (8) 公共哲学とは何か(山脇直司著)
- (9) プロダクトアウト戦略(伊藤修著)
- (10) EQリーダーシップ(ダニエル・ゴーマン著、土屋京子訳)
- (2) 考える技術・書く技術(バーバラミント著)