技術者倫理E (堀田 源治)
科目名: 技術者倫理E (01) Engineering Ethics E
担当教員: 堀田 源治 (非常勤教員) genji_hotta@ns-elex.co.jp
対象分野科目 必修科目 1単位
2年 後期 集中講義等
授業の概要
事故・災害は不運・偶然の結果という考えに陥りやすいが、実際は、その要因は全て解明可能な因果関係による階層構造を成していることから、科学的に災害を予知・予測し、事前に対策が可能であることを講義する。しかし、安全対策の立案と実践は別問題であり、常に経済・社会的事情との相反となることから、スペースシャトルチャレンジャー号に代表されるような悲劇が繰り返されていること説明し、社会に物理的影響を与える技術者にとって、日常の業務の中で公衆の福利・安全問題を発見・解決しながら成果を得ることがプロフェッションであることを認識し、問題に接した場合の倫理的思考を身に付けさせることを目的とする。
カリキュラムにおけるこの授業の位置付け
安全・倫理に関する科目は学際的・実学的なもので、数学・物理学、人間工学、心理学、基礎医学、法学・経済・社会学などの教養科目から、工学専門科目もその基盤となる。また、性格・心情・社会への関心などもこの科目の重要な要素となることから、学内での日常の体験や経験も学習の基礎となる。
授業項目 (授業計画)
- (1) 科学としての安全 事故の原因の解析
- (2) わが国の災害の実情: 統計と実例
- (3) 現在の防災・安全技術:労働安全衛生法、PL法
- (4) 安全上の重大問題 :安全後進国
- (5) 国際安全レベルへの整合: 国際安全規格とCEマーキング制度
- (6) リスクの予測・事前回避: リスクマネージメント法
- (7) それでも事故は繰り返す: 脳の働きと認識メカニズム
- (8) 複雑系としての産業安全システム: 人間の行動特性、演習1
- (9) 安全を具現化する倫理: 危機管理大国での2度のスペースシャトル事故に学ぶ
- (10) 安全コスト: フォードのピント車発売例
- (11) 職業倫理: 道徳倫理と工学倫理の相違
- (12) 工学倫理入門: 線引き問題と相反問題
- (13) 実践手法としての安全倫理:行動規範としての技術倫理
- (14) 業務とミッションの認識:
- (15) これからの技術者を目指して: 演習2
- (2) わが国の災害の実情: 統計と実例
授業の進め方
安全と倫理2つのパートにおいて、それぞれの内容について講義を行った後、課題を出し小集団に分かれてのディスカッションと発表を行う。(全2回、多人数の場合は演習問題に替える)を行う。また、授業の最後にレポート課題を出し、1週間後に提出してもらう。
授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)
この授業は、潜在的な危険の芽を発見し、リスクを予測して事前に安全対策を実施する予防安全についての講義し、電子情報工学科の目標(F)にある「問題に対して自主的に解決できる方法を探り解決したり、さらに問題を発見する能力を養う」ことを目標とする。また、目標(H)にある「技術者としての倫理、モラル、責任を理解し身に付ける」ために、技術行為の結果公衆に与える災害に対して予防と公表を行うことは、技術者の責任であり、公衆の福利・健康・安全を実現することが職業人としての倫理であることを講義及び演習により理解させることが目標である。
成績評価の基準および評価方法
安全対策手法が、技術者責任としての倫理観に裏打ちされた技術であることを学生が理解しているか、公衆がリスクにさらされる事態においての行動・判断を適正に行えるかに関して、2回の演習問題と最後の課題に対するレポートで評価する。
キーワード
安全、リスク、安全管理、労働安全、製品安全、ライフ・サイクル・セーフティ、マン-マシンシステム、ヒューマン・エラー、危険検出思想、安全検出思想、本質安全、国際安全規格、PL法、リスクマネージメント、プロフェッション、職業倫理、相反問題、線引き問題、功利主義、安全倫理、似非倫理
教科書
野田 尚明、堀田 源治、「安全工学(仮書名)」、(社)日本プラントメンテナンス協会.(8月発売予定)
別に 講義資料と演習問題を配布
参考書
「安全工学—実践技術者のための—」(財)職業訓練教材研究会 2000円