現代物理学 II (高嶋 授)
科目名: 現代物理学 II (02) Modern Physics II
担当教員: 高嶋 授 (先端エコフィッティング技術研究開発センター) takasima@cse.kyutech.ac.jp
対象分野科目 選択必修科目 2単位
2年 後期 水曜5限目 1304講義室
授業の概要
この授業は、質点の運動力学と波動力学から量子力学へと発展する学問領域と現代のエレクトロニクスの基礎となる量子力学について講義する。
エレクトロニクスデバイスは半導体中などの固体中の電子の振る舞いと電磁波との相互作用によって機能が発現しているので、ミクロな電子状態をシュレディンガー波動方程式を使って状態方程式を導きその性質や振る舞いを理解する。
この知識が、半導体デバイスや光デバイスを理解するうえで重要な基礎となる。
カリキュラムにおけるこの授業の位置付け
現代物理1で学習する運動方程式や熱力学を基礎として重要で、これらの概念を発展させたものが量子力学である。
また、三角関数や指数関数の微分積分を用いて波動方程式を解き、電子の軌道やエネルギー、運動量などを求めるので、数学についても高度な知見が要求される。本授業と電子物理、統計力学などを履修することによって、後で学ぶ半導体工学、電子デバイス、電気材料などの工学的応用科目を深く理解することができる。
授業項目 (授業計画)
- (1) 現代物理の歴史的背景
- (2) 粒子と波動
- (3) 電子と光について
- (4) 自由電子
- (5) 1次元井戸型ポテンシャルのシュレディンガー波動方程式
- (6) エルミート演算子と固有関数、固有値
- (7) 期待値および不確定性原理
- (8) 電子の波動関数とエネルギー状態
- (9) 固体の状態と電子状態
- (10) 光の吸収と発光
- (11) トンネル効果
- (12) 量子効果による電子デバイス
- (13) 温度の概念
- (2) 粒子と波動
授業の進め方
教科書は指定するがノート講義が主体となる。英語の専門用語をできるだけ用い英語による文章の読解ができるような講義をする。
講義の終わりに、その日に学んだことを復習するための小テストを随時行う。
授業の達成目標 (学習・教育目標との関連)
この授業は、具体的には次の事項を達成目標とする。
- (1) 学生に、電子や光の性質について深く理解し、量子力学に基づく現代物理の基礎的な知識を習得させる。
- (2) 学生に、量子力学基礎となる一次元の井戸型ポテンシャルに閉じ込められた電子の状態方程式、分布状態、エネルギー状態などについて十分に理解させる。
- (3) 学生に、量子力学の基本的なコンセプトを理解することによって、固体の電気的特性や光学的性質がどのような電子状態に由来するのかを理解させる。
- (4) 学生に、様々なエレクトロニクスデバイスの機能や特性が、ここで学んだ量子力学的考察によって説明ができるようにする。
- (2) 学生に、量子力学基礎となる一次元の井戸型ポテンシャルに閉じ込められた電子の状態方程式、分布状態、エネルギー状態などについて十分に理解させる。
「学習・教育目標」(B)自然科学に対する理解を深め、情報科学、数学、物理学などの基礎学力を育成する。
成績評価の基準および評価方法
(1),(3),(4)については、期末試験の成績により総合的に評価(70%)し、(2)については、演習課題に対するレポートにより評価(30%)する。
キーワード
状態関数、電子状態、固有値、期待値、固有関数、シュレディンガー波動方程式、量子力学、光吸収、発光、トンネル効果、半導体、新素材、温度
教科書
小野イク郎 編「現代物理学」 森北出版
参考書
- Donald A. McQuarrie 著 「Quantum Chemistry」University Science Books, Mill Valley, California (1983).
- 中嶋貞雄 著 「量子力学I」岩波書店、物理入門コース (2000)
- 神成文彦著 「量子工学」 培風館 (2000)